2016年3月31日木曜日

SONY Cyber-shot DSC-S85


ソニーのデジタルスチルカメラであるサイバーショットシリーズといえば初代がDSC-F1と一般的なカメラの形状ではない機種だったことから分かるようにどちらかというと今までのカメラとは違うようなデジタルガジェットのようなシリーズとして認識されており、実際にそういう機種が多かったのですが普通のカメラ的な需要もやはりあったのか普通のデジタルカメラのようなシリーズが作られます。それがCyber-shot Sシリーズなのです。そしてSという名前の由来ですがソニーの各機種ニュースリリースや大手レビューを読み限りSTAMINAのSから来ているみたいです。「さらなるスタミナ性能を追求した」とあるので後述の大容量バッテリーの採用にも納得です。



デザインは普通のカメラ系のというだけあってサイバーショットシリーズの中ではかなり大人し目なデザインです。このシリーズは一般的なデジタルスチルカメラというだけではなく高価なモデルではカール ツァイスのバリオゾナーレンズを搭載のほか当時としては高画素な大型CCD、進んでいる画像処理など高画質もコンセプトにあったみたいです。その為なのかかなり性能をアピールするステッカーが貼られています。
高級Sシリーズ初代のDSC-S70では一般的なカメラっぽいデザインといいつつもレンズが本体端にあったりとなんだかサイバーショット感がありましたが、高級Sシリーズ最終機種となるこのDSC-S85ではレンズが中央に配置されていたり大きなグリップがあったりとますます普通のカメラチックなデザインとなりました。それでも明るい高性能バリオゾナーは健在なのでレンズ部が大きく飛び出しているデザインとなっています。
ブルー気味のブラックカラーに塗装されているボディは金属製なのでひんやりとした感触で高級感がありさすがSシリーズフラッグシップ機というところでしょうか。大柄なボディと大きなグリップのおかげでホールド感は良いのですがかなり重さがずっしりきます。



本体価格の割には液晶モニターが小さいように見えてしまうかもしれませんが年代が古いので仕方がありません。ビデオカメラと同じ大きなバッテリーが使われているだけあってスタミナ性能であまり電池持ちを気にする必要が無さそうなこの機種ですが、液晶モニターを消した場合でも情報の確認ができるようにモノクロサブ液晶モニターが付いています。
操作系はあまり合理化されていない昔のものでボタン数も多いのですが、これが逆にフラッグシップっぽくて良いのではないのでしょうか。UIは当時のサイバーショットシリーズ恒例の横に設定項目が並んでいるブルーのもので慣れるとそれなりに扱えるかと思います。液晶モニターの大きさは1.8型でTFT、画素数が12.3万画素とさすがに昔のスペックですが構図確認やピント確認はそれなりに出来ます。光学ファインダーも搭載されているのでモノクロモニターと合わせて液晶モニターを消灯しての撮影もこなせます。また、光学ファインダーはフラグシップ機らしくピント調整可能です。
カーソルキーの割り当てはフラッシュ、レビュー、マクロ、セルフタイマーと当時のサイバーショットシリーズと同じです。他の安いサイバーショットには無いボタンとしてAE LOCKやFOCUS、露出補正ボタンなどが配置されているのでほぼワンタッチで設定可能です。シャッタースピードや絞りの調整は右部にあるマルチダイヤルを回して設定をします。マルチダイヤルは押し込むと決定となるなど色々考えられて設計されているのではないのでしょうか。



決してスリムな類のデジタルスチルカメラではないのでかなり天面もボッテリとしています。モノラルながらも大きいマイクがあることからムービーにもある程度力が入れられていたことが分かるのではないのでしょうか。MPEGMOVIE EXとムービー撮影をアピールする文字が印字されているくらいなので。
高級機なので大き目のモードダイヤルが配置されていてカメラマークの自動モードの他にプログラムオートや絞り優先、シャッター速度優先、マニュアル露出など一般的なマニュアル撮影が可能です。電源スイッチはモードダイヤルと一体化しているレバーとなっているので最初はズームボタンと間違えてレバーを押してしまうかもしれません。
やはり何故か剥がされていない性能アピールステッカーには「カール ツァイス」の文字がありますが、本家のZEISSロゴはありません。後のシリーズには廉価機のTessarレンズ搭載モデルでさえZEISSロゴのシールが張られていたのでまだこの時代のサイバーショットでは使われていなかったという事なのでしょうか。
ソニーのビデオカメラなのでよく見られたマルチアクセサリーシューが見えますが現在では使われていない規格になります。どうやらビデオライトなどのアクセサリーを接続することができたようです。



Carl Zeiss Vario-Sonnar  2/7-21

高級機というだけあって当時のサイバーショットシリーズではまだ搭載機の少なかったカール ツァイス バリオゾナーレンズが搭載されています。でもこのF:2.0で始まる明るい3倍ズームはどこかで見たことがあるような…
レンズ構成は公開されていないので分からず、F値は2.0-2.5となります。この3倍ズームレンズはどうやらCanon PowerShot Gシリーズに搭載されていた物と同じと言われており、他社ではキヤノン、パナソニック、セイコーエプソン、カシオ、東芝などといった多数のメーカーが採用していたので当時の一体型カメラ界の銘玉と呼ばれているようです。CANON ZOOM LENSという名前で東芝とカシオが採用していたことからこれらのレンズはキヤノン製と言われているみたいですが実際はタムロン製などいった予想もあるので真実は分かりません。300万画素時代に登場したこのズームレンズですが500万画素までそのまま使われたようなのでかなり性能も良かったのでしょう。

イメージセンサーはソニーご自慢のオリジナルSuper HAD CCD 413万画素 1/1.8型が搭載されています。Super HAD CCDが他社採用のCCDイメージセンサーと何が違うのかはよく分かりませんが後の機種までSuper HAD CCD採用であることをアピールしていたりするので高性能なのでしょう。正方画素、原色フィルター、インターレーススキャンCCDとなっております。
画像処理エンジンのアピールという概念がまだ当時は無かったようで特に名称も無くアピールされておりませんが14ビットA/Dコンバーターにより4倍密A/D変換技術搭載でダイナミックレンジの拡大と色諧調の細分化を実現とあります。当時としてはかなり高性能だった画像処理プロセスが搭載されていることには違いありません。 


6x PRECISION DIGITAL ZOOM

側面にはデジタルズームの記載や出力端子類があります。特別な名前のデジタルズームでも結局はデジタルズームなので画質は劣化してしまいます。
USB端子はサイバーショットシリーズで広く採用していたミニB端子なので互換性が高い代わりにビデオの信号線はのせられないので別にビデオ出力端子が用意されました。端子カバーの出来も高級機らしく良いのです。



SONY  MODEL NO. DSC-S85
DIGITAL STILL CAMERA   Tested To Company With FCC Standards

SONY CORPORATION  MADE IN JAPAN   

三脚穴は結構本体端に近い部分に配置されているので小さなポータブル三脚では重量も影響して倒れてしまうかもしれません。
原産国は日本で国内製造となっています。当時のサイバーショットシリーズは廉価シリーズの更に廉価機種といった場合でもMADE IN JAPANとなっていることが多かったので国内産の機種はかなり多いのでしょう。バッテリースロットの大きさから採用リチウムイオン電池がかなり大きいという事が分かります。



使用電池はインフォリチウムMことSONY NP-FM50が採用されています。インフォリチウムシリーズなので電池残量を分単位で表示可能なのでかなり残量の目安表示としては優秀なのではないのでしょうか。デジタルビデオカメラの電池として利用されているだけあって本体が大きい代わりに容量も大きく、ニュースリリースでは3時間の駆動が可能とされスタミナ性能と謳われています。
この頃の機種がそうなのかは分かりませんが、サイバーショットシリーズは本体にバッテリーが挿入されて24時間経過後に日付保持用のキャパシタを本格的に充電開始との記載があるので日付を長く保持させたい場合は1日ほど電池を入れて放置する必要がありそうです。
インフォリチウムMことNP-FM50は容量が大きいというメリットがありますが、高電圧を得るために2セルが組まれているという弱点があります。片方のセルが液漏れするほど劣化していた場合でももう片方のセルは普通に生きているという事が結構起こるので不便な事もあります。基本的に使われるセルはソニー福島(ソニーエナジ・デバイス)製のようです。

SONY Cyber-shot DSC-S85

メーカーSONY
SONY CORPORATION
原産国MADE IN JAPAN
発売2001/06/28
メディアメモリースティック
センサー1/1.8型 Supe HAD CCD 410万画素 原色フィルター 
レンズブランドCarl Zeiss Vario - Sonnar
レンズ構成
画像エンジン
手ブレ補正
光学ズーム3倍
ファインダー光学ファインダー
価格OPEN(12万円程度?)
その他

ISO
F値F2.0(W)-F2.5(T)
圧縮率ファイン、スタンダード
動画MPEG EX  
MF
GPS
タッチパネル
容量上限128MB
カラーモード
ストロボ内蔵
ドライブ動画/静止画

 
価格:1,500円
状態:故障なし
 
 


7 件のコメント:

  1. 大変参考になりました!!良く写るレンズなのでどこが作っていてもよいのですが、2社はキヤノン1社はツァイス、タムロン疑惑あり。。。って面白いというか。ツァイスかキヤノンかどっちかにしてほしかったように思いますが。S75を気に入りこちらへいざなわれてまいりました。

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  2. 採用実績もかなりありますし、良いレンズだと思います。製造元は当時の関係者でないとわかりませんがタムロンかな?とは予想していました。ソニーの他のデジカメでもDSC-W1やP100といったレンズユニットがタムロンのOEM用ページに載っているレンズユニット画像と同じに見えるんですよね。HOYA製とかは簡単に分かりそうなのですが。

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  3. 管理人様
    実は音楽を生業としておりまして、Allegrettoという楽語にもよく使う言葉にひかれ東芝製品を買っておりますが、M70を入手し、自分のブログにも兄弟機種が多いことを書きたいのですが、こちらのブログからの引用のリンクを張らせていただけないでしょうか?画の出来栄えはS75とM70はずいぶん違いましたが、レンズは同じだと思います。しっかりした絞も入っていますし。

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  5. 管理人様
    上のコメントは、「う~つれ~ばい~いじゃ~ん」の横須賀与太郎でございます。

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    1. 引用リンクはご自由にどうぞ。よろしくお願い致します。
      自分もAllegrettoは割と所持しているのですが、自社開発品が少ないようで各社バラバラなのが供給されている感じでUIも統一感がないのですよね。PDR-M60もリコー RDC-5000とレンズ同じみたいでどちらも台湾製ですし。

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    2. 本当にありがとうございます。M60に関してちょっと迷っておりました。買わずに済むかもしれません。

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