2016年5月2日月曜日

KYOCERA Finecam S3R


何とか帰宅し更新できる環境になったので余震や落下物に負けずに更新するのです。


  
京セラがかつてご自慢の画像処理エンジン RTUNEを搭載して高速連射や高速動作などとにかく高速処理をアピールして発売したデジタルカメラ Finecam S3Rです。しかし、京セラコンシューマ光学事業末期の製品というだけあって京セラが民主用光学製品から撤退した際には1万円代と発売価格からは考えられないほど安く売られてしまっていた模様。
もともとデジタルカメラでのシェアが小さい京セラの機種の中でもコンタックスのように目立つ製品ではないKYOCERAブランド、故障率の高さにより完全動作する個体は少ないと思われます。
購入価格は300円
これがCONTAXブランドならば現在でもジャンクでさえ数十倍の価格が普通に付くのですがKYOCERAブランドになると動作品でもこんな価格なのです。しかし、オークションを覗いてみるとCCDイメージセンサーが大きくてKYOCERAブランドのデジタルカメラの中でもグレードの高いSシリーズは割と入札が入っていたりと一部ではまだまだ人気がある模様。Sシリーズ以外のFinecamシリーズはイメージセンサーが1/2.7型と小型センサー採用機が非常に多く、画質もザラザラノッペリと評判が悪めなこともあって入札もそんなに無いみたいです。スイバル機はスイバルファンが多いのか結構売れるみたいですが。

デザインは当時最小クラスを謳っていたS無印シリーズの形状を継承しながらもKYOCERAロゴのあるグリップや画素数エンブレム、口径の大きくなったレンズ部など色々変わっています。目立つ部分としてはフラッシュがポップアップ式になったことでしょうか。サイズが現在のデジタルカメラとそんなに変わらない大きさを実現していますが厚みはどうしてあって、金属ボディにより重厚感もかなりあります。見た目の通り決して1万円程度で叩き売りされるようなクオリティではないのですが製品というよりメーカーの事情で安売りされてしまったパターンなので仕方がありません。

KYOCERA   Finecam S3R  
3.2 MEGA PIXELS   317万画素 フルメモリ高速連射




こうやって見ると液晶モニターが非常に小さいですが、モニターの小ささは京セラ機のアイデンティティ?でモニターが大きかったのはFinecam l3vくらいなのでこんなものです。
他に京セラFinecam Sシリーズに共通する特徴として操作系側にSDカードスロットのエジェクトスイッチがある事などもあります。このエジェクトスイッチは思わず押してしまう事が何度かありますが幸いこの機種は「スロットが開いています」と表示するくらいで勝手に電源が落ちたりエラーになったりする事は無いのであまり問題ありません。スマートメデイアと違って通信中の抜出しが必殺になってしまわない為でしょうか。
同社のFinecam S3のOEMであると言われているKonica Digital Revio KD-300Zと比較してみますとOEM元の型番は非常に似ていて一見兄弟機か近い年代の機種と思うものの、実際は2001年と2003年と2年も離れていて操作系や液晶モニターなどかなり進化している事が分かります。操作系はS3のモードレバーからモードダイヤルに進化し、液晶モニターは常時チラついていてノイズが走っている物から普通に表示する物になったりといった進化は目立たないながらも嬉しいものです。
UIは独特の京セラ独自のものでマクロがシーンに潜らないと使えなかったりと使いづらさはありますが、慣れるとそれなりに使えます。電池が壊滅的に持たないというシリーズ共通の欠点は相変らずなので液晶モニターを消して光学ファインダーを使用する使い方が良いかもしれません。



ボディ天面はS無印シリーズとS〇Rシリーズとは異なっています。
電源ボタンの周りには同じ大きさの円形窪みがあるので何度か押し間違えてしまう事がありました。Finecam S3ではシャッターボタンがツルツルだったのに対し、このFinecam S3Rではヘアライン加工によるザラザラになるなどこのあたりも改良されています。



KYOCERA 3X ZOOM LENS    f=7.3-21.9mm 

レンズはコンタックスではないのでカール・ツァイスではなく京セラブランドの3倍ズームレンズが搭載されています。S3ではやたら動作音が大きかった京セラズームレンズですがこのS3Rではかなり改善されました。それでも結構大きい音が聞こえますが。
カメラブランドとしてはあまりメジャーではなかった京セラですがこのKYOCERA 3X ZOOM LENSは光学性能が良いらしくキッチリ解像した写りとなるようです。後述しますがこの機種はノイズの多いザラザラ仕上げとなっているのでノイズリダクションがそんなに効いていないのかもしれません。
京セラの場合一般的な光学メーカーのように上級レンズブランドが他社のCarl Zeiss系しか無いためかどのファインカムもKYOCERA ZOOM LENS表記なのでどれが力の入っているレンズユニットなのか判断が付きませんがカタログを見てみるとこのRTUNEシリーズは特に力が入っているとか何とか。同じくRTUNEを採用しているCONTAX TvsDIGITALはバリオゾナー T*で言わずとも力入りまくりのようですが。
当時のカタログからセールスポイントを引用すると

  光学メーカーならではの高品位レンズ。高解像度の光学3倍ズーム。デジタル併用ズーム
光学レンズは広角から望遠までカバーする中心投影解像度200本/mm以上を実現した高解像度光学3倍ズームを搭載しています。また、デジタルズームを併用すればさらにアップの撮影が可能です。再生時にはデジタル8倍ズームで撮影した写真をチェックすることができます。

だそうです。
イメージセンサーはCCD 1/1.8型 原色フィルターを搭載、画像処理エンジンはNuCORE Technology社のデバイスを独自チューンしたRTUNEというものが搭載されています。このRTUNEというエンジンは当時としては超高速ながらも諧調豊かで低ノイズを謳ったものですが、高速については本当だとしても低ノイズについては?となります。本来はもっとノイジー設計な機種だったのでしょうか。この機種…というよりこの頃の京セラ機はやたら露出をアンダー気味にする癖?があり、極端にアンダーになってしまった部分は殆ど色が乗らずノイズだらけなるという特性があるようです。そして伝統的に京セラの評価測光は弱いので中央重点測光モードの方が使いやすいかもしれません。
センサーについてはソニーにて同スペック製品が存在しないため、シャープの有効画素数334万画素な1/1.8型CCDであるRJ21P3AHIPTが採用されていると思われます。実はこのセンサーは2000年には400万画素級が発表されたことによって既に過去の物扱いされているほど古いものらしく、なぜ2003年当時に古いセンサーが採用されたのかよく分かりません。S3Rより古いS5Rは大規模無償修理の対象なのでソニー製センサーと思われます。




Sシリーズでは定番の側面のSDカードスロットはこの機種でも健在で、スロットスイッチが本体背面側にあるのも同じく定番となっています。2GBのCLASS4程度の高速SDカードも普通に使用出来て処理が遅くなるといった挙動も無かったのでメディア入手は困らないでしょう。
なぜかSシリーズの個体記号はSDカードスロットカバーの裏側に印字されていたりします。



KYOCERA CORP. JAPAN
ASSEMBLED IN CHINA    PARTS MADE IN JAPAN 
 

これも京セラ機定番となっていた本体組立が中国でパーツが日本製という表記がこの機種でもありました。Tvs DIGITALではMADE IN JAPANと表記されていた事から国内にデジタルカメラ工場が無かったというわけでは無いみたいですがリコーと同じように海外製造を進めていたのでしょうか。パーツが日本製とありますが、やはりどのパーツなのかは不明です。
三脚穴は端に追いやられてストラップ取付口に近い場所にあります。無いよりマシですが三脚穴はそんなに使われないという判断なのか設計での余裕がなかったのか分かりません。




電池は持たなさで定評のあるガム形リチウムイオン電池ことKYOCERA BP-1000Sが採用されています。このガム形リチウムイオン電池は世代があり容量も800mAから900mAと増えていき、このBP-1000Sで1000mAhとなりましたが撤退により京セラ最後のガム形リチウムイオン電池となってしまいました。何故かシャープとシャープOEMのポータブルMD系機器、PDA端末ザウルスシリーズの一部機種の電池と互換性があり、無保証ですが使いまわせたりします。ヘタってデジタルカメラでは持たないと思っていたガム形リチウムイオン電池がシャープ系のポータブルMDレコーダーでは普通に何時間も使用出来たりしたので電池の持たなさについては本体の消費電力が多すぎることが原因なのでしょう。それとも電圧検知が異常に厳しくてちょっとした電圧降下で使用不可と判断していたりするのでしょうか。独特の細長い形状のリチウムイオン電池はFinecam Sシリーズの最少サイズに寄与しましたが電池容量が増えても結局電池持続問題は解決しませんでした。



使ってみた 
 



          



AMXの唯一の保有機だというみぞか号(ATR42-600)。福岡や伊丹での画像は結構出てくるのですが、本拠地の空港での画像は珍しい?  

こうやって見るとハイコントラストではない色味ですが出る色はちゃんと出ていて見たまんまに近い色と思えます。バックの海と島々もちゃんと表現されているし、評判の良かった1/1.8型CCDとNuCOREの画像処理エンジンでかなり画質は良い? 300万画素級としては2003年発売とかなり後期のようなのでセンサーの扱いも上手くなっていたのかもしれません。
近年ではKYOCERA=CONTAXみたいな評判を見かけるのですが、あながち間違いでもない気がします。また、これもTvs DIGITALと同様に雨の日のシットリとした感覚の表現も上手いらしく花の描写もいい感じではないのでしょうか。フイルムや感材メーカーのようなド派手な発色ではありませんがいい感じです。 

→追加画像はコチラ

「ブログ成分が足りない」とコメントを頂いたので画像多めですがどんな感じなのでしょう。Picasaの容量は割とシビアみたいですが1600万画素以下の画像ではノーカウントのようです。しかし、自動圧縮されてしまうようなのでガチ作例みたいな用途では使えないかもしれません。


KYOCERA Finecam S3R

メーカーKYOCERA
KYOCERA CORP.  JAPAN
原産国ASSEMBLED IN CHINA / PARTS MADE IN JAPAN
発売2003/12/02
メディアSDカード、MMC
センサー337万画素 1/1.8型 CCD 原色フィルター
レンズブランドKYOCERA 3x ZOOM LENS
レンズ構成
画像エンジンRTUNE
手ブレ補正なし
光学ズーム3倍
電池BP-1000S  (3.6V 1000mAh)
ファインダーあり
バージョンアップなし
価格OPEN
その他RTUNE(NuCore)、高速連写

ISOAUTO、100-800
F値F:2.8(W)-F:4.8(T)
圧縮率ファイン、ノーマル
動画AVI 30fps VGA
MF不可
GPSなし
タッチパネルなし
容量上限2GB使用可能
カラーモード
ストロボ内蔵(強制ポップアップ式)
ドライブ動画、連写(エンドレス)、静止画


価格:700円 (電池、その他付属)
状態:日付リセット




0 件のコメント:

コメントを投稿

お気軽にコメントをどうぞ