ポータブルな機器ばかり扱っている当ブログでは大変珍しいコンポの登場です。シャープ SD-CX8はシャープ独自の1ビットデジタルシステムを搭載したコンポとなります。SHARPなオーディオ?と疑問を持たれる方は割と多いのですがシャープはこうみえてかつては結構オーディオに乗り気であり、自社オーディオブランドとしてOPTONICA(オプトニカ)というブランドで単品デッキを作っていたり、ポータブルMDプレーヤーではかなりの存在感を放っていたりとオーディオも結構作っていたメーカーであります。
現在は海外メーカーの傘下入りになってしまい、本日で本社ビルの売却や債務超過と火の車な状態のシャープですが当時は液晶テレビがそれなりにヒットしていたこともあり、現在と比べると大らかな状況だったのでしょう。AQUOS程ではないけれどもそれなりに力を入れられていて各オーディオ機器や液晶テレビ等にも採用されていたΔΣブランドの1ビットデジタルシステムですが現在では完全に廃れてしまいました。
購入価格はドフのジャンクで525円。
入荷した当時は2100円で並んでいたのですがそのまま誰にも買われずに1050円となり、そしてジャンク50%オフセールにて525円になってしまいました。
コメントは「CD再生できません。MDはOK」と書かれており、実際にCDは再生できない状態でしたがピックアップのクリーニングにより再生できるようになりました。
ですがしばらくするとまた再生できなくなり、今度はディスクが一切回らずピックアップが動いていなかったので分解してみたのですがグリスが固まっていたのが原因でピックアップが不動となっていました。原因だった古いグリスを除去し、新たなグリスアップにより使えるようになりました。
これが問題のピックアップユニットになります。下部に見えているギアが古グリスによって動きが悪くなってしまい、ピックアップユニットが移動できないことによりCDが読めなかったのが不良の原因でした。ピックアップそのものは元気であり、可変抵抗の調整は必要ありませんでした。
比較的あたらしいコンポというだけあって各ユニットが完全に出来るため分解はかなり楽なので調整はすぐに終わりました。取り出しボタン用のコレクタやピックアップユニットからのコネクタを挿し忘れて何度も分解するはめになりましたが…
ピックアップレンズに繋がる2つのコネクタ。
これを挿し忘れたことにより表示がNO SIGNALとなってほぼ最深部であるコレまでまた分解することに…
NO SIGNALのエラーメッセージはピックアップ故障全般で表示されるのか、差し忘れなど信号が見つからない際に表示されるのか分かりませんが、エラー症状をはっきりと表示するのは珍しいかもです。大抵はMECH ERR(
めっちゃことMECHエラーネタは勘違いする方多数なのかコピペのレベルまで達しているようです。
ピックアップユニットの型番はHPC1LX(メーカー不明)
現在でも3000円程で購入可能ですのでいざというときは交換できそうです。分解しようとしてギアを割ってしまうとどうしようもなくなるので注意しましょう。
ソニー製のピックアップのようにはっきり分かる感じでの型番や東芝製やJVC製、三洋電機製などのピックアップのようにはっきりとロゴがある場合はどこ製か分かりますが、安ジェネリックオーディオ家電等のピックアップは大抵の場合で正体不明です。
CDドライブ用やCDカバー等のモーターは模型等ではお世話になる事の多いかもしれないマブチモーター製のモーターが使用されていました。ドライブ用はマレーシア製なのにカバー用は中国製となっていますがモーターにより工場が違うのでしょうか。
結構目立つ場所に鎮座していたSHARPのチップであるSHARP RH-IX0593W2?
シャープチップということでMDのATRAC用チップかアンプ部のチップかと思いますが詳細不明です。シャープ系のATRACはソニーのTYPE-Rほど宣伝されていなくて不明な事が多いのですが、字時代が経つごとにバージョンアップしていたらしく音質も結構違ってくるとのことです。ですがシャープ系のコンポでMDを高音質に録音できると宣伝された事は無かったと思いますのでやはり詳細不明です。というより自社独自技術でMDをより高音質に録音できると謳っていたのは大元のソニーととある時期までのパイオニア、後期のオンキョーくらいです。
ピックアップユニットはこんな感じで完全に分離するので手入れが楽です。中央より少し上の部分がピックアップレンズの稼働スペースとなっています。-のようなものは出力調整用のボリュームではないのでしょうか。
裏面は新しいコンポということだけあってかなりスッキリしています。普通のコンポ並みには発熱するので排熱口は結構あるのかと思ったら、背面と天面にしかありませんでした。
アンテナ系端子は右端に並んでいます。AUXはステレオミニプラグではなくRCAピン端子というのは残念ですがこの時代のコンポには多いので仕方がありません。後の時代のコンポではそもそも外部入力すら省略ということも増えてきますが、このAuviコンポはMD録音が大きな目玉機能なので省略されることはありませんでした。もっと録音に拘るならば光デジタル入力端子が欲しいところですが、そんなものを搭載しているコンポはごく一部ですし…
1ビットデジタルシステム SD-CX8-B 2003年製
シャープ株式会社 MADE IN MALAYSIA
定格消費電力 48W
受信周波数 FM 76.0-108.0Mhz
AM 522 - 1629
シャープはこのコンポをコンポではなく「1ビットデジタルシステム」として売り出していたことが分かります。一応Auviシリーズとして発売されているはずなのですが、本体には一切記載が無いのが不思議です。ポータブルMD機器のAuviシリーズは目立つΔΣロゴと共に必ずAuviロゴがあったものですが。
原産国はマレーシアとなっています。当時の高級AuviシリーズやポータブルMD機器もマレーシア製が多かったことからシャープのオーディオ機器工場でもあったのでしょう。
本体付属のハズのスピーカーはドフお得意のバラ売りで別途ペアで525円となっていました。しかし、このコンポは本体スピーカーよりも別のスピーカーに付け替えた方が本来の性能が生かされるということなので別途スピーカーを付けています。(自己責任でどうぞ)
電源ON状態
よく見ると右上の⊿Σロゴの⊿が青色に光っていることが分かります。これはシャープの1ビットデジタルシリーズではよく使われている演出であり、ポータブルMDレコーダーのリモコンまで⊿が光ったりします。
こうやって見るとデザインは中々良くてボタン配置もすっきりしていますが、リモコンなしだと操作が制限されるのが残念です。CD/MD再生、バンド切り替え、AUX、選局/選曲、MD録音/消去と大部分の操作は出来るので困ることはないですが。
電源投入時や電源切時にはカチカチといった音がしますが恐らく電源リレーの音だと思われますので心配なさそうです。
CD部のカバーはこのように開いてCDを出し入れすることができます。
カバーを駆動しているのは上記の通りマブチ製のモーターですが単純に開いたり閉じたりしているのではなく指を挟んだりしたら閉じるのをやめてまた開くなどとちゃんと制御されていて安心です。オープンボタンはひとつだけ上にあるあのボタンになりますが、これだけコネクタが別途伸びており、これを挿し忘れたことにより再分解その3まですることになってしまいました。(コネクタが刺さっていないと制御できないのか蓋が勝手に開いて閉じたりと暴走)
ディスプレイはモノクロ液晶タイプではなくVFD(蛍光表示管)タイプなのでかなり見やすいです。チューナーモードの際には画像ののように、AUXモードの際には目安ですがLとRそれぞれのレベルメーターが表示されます。これはMDに録音する為の確認用ですね。
並んでいる各種ロゴマークとヘッドホン端子
ヘッドホン端子はなぜか非常に硬く、力を入れないとプラグが入っていきません。こんなところを壊すとは思えないので元からではないのでしょうか。
そしてポータブルAuviシリーズとは異なってコンポ系のAuviシリーズは独自の4極ヘッドホンには対応しておらず普通の3極ステレオ3.5φミニジャックになります。コストカットや手抜きだと言われてしまった仕様のようですがコンポの場合はポータブル機器のようにイヤホンを付属させることが難しく、そもそもイヤホンやヘッドホンはおまけみたいなものだったためなのでしょう。
MDスロット周辺
MDはよくありがちなスロットインタイプで自動で吸い込まれていくのでかなり楽です。分解した際に確認したのですがCD用ピックアップユニットとは完全に分離しており、CDピックアップユニットが操作盤側の基盤に付いているのに対し、MDユニットは本体側の基盤に固定されていました。ATRAC ICはシャープのものと思われますがそこまで分解していないので分かりません。
このジャンクはCDがNGでそれ以外がOKというものだったのでMDは録再共に好調です。
それでよく良いといわれる1ビットの音質ですが確かに透き通るような透明感があります。しかし、その透明感からなのかヘッドホンではかなり聴き疲れしやすい音質なような。
ピンジャックがあるので 番組が見れないテレビの代わりにゲーム機を直接繋いでみてヘッドホンで聴いてみたところ、TVからのジャックの出力より遥かに高音質となって聞こえてきました。上記の通り聴き疲れしやすいので長時間は個人的に辛いのですが。
CD読み込み時の音やMD排出時の音がかなり五月蠅かったりするのですが、再生時にノイズとなって流れてくるようなものではないので気になりません。
このコンポは1ビットデジタルシステムシリーズとしてはかなりの廉価クラスであり、もっと上位モデルが存在するのですがそちらはもっと粒子感のあるような素晴らしい音質とのこと。単品オーディオデッキと比較するのはお門違いでコンポでこれだけの音質というのが重要なのです。しかし1ビットデジタルアンプに追従するメーカーはポータブルMDの世界ではそれなりにいたもののコンポでは結局同様な商品が他社から販売されることなくシャープがオーディオより遠ざかったために絶滅してしまいました。もし安く見かけたら珍しい物なので購入しても良いのではないのでしょうか。
高級シリーズの場合はDVDプレーヤー機能が付いていてDVD対応となっている事が多いですが、このDVDについてはどうも故障していることが多いみたいです。CD専用ピックアップとDVD兼用ピックアップとでは耐久性に差が出るのでしょうか。
かつてはあれだけ見かけたAuviシリーズですが現在ではコンポ、ポータブル機器共にすっかり見かけなくなってしまったので数は結構減ってきているのでしょう。
SHARP Auvi SD-CX8 | ||||||
メーカー | SHARP | |||||
シャープ株式会社 | ||||||
発売 | 2002/09/20 | |||||
メディア | CD/MD/AM FM | |||||
形式 | コンポ | |||||
出力 | ステレオミニプラグ、スピーカー (8Ω) | |||||
入力 | AUX(ピンジャック) | |||||
電源 | AC100V 50/60Hz | |||||
リモコン | あり | |||||
バージョンアップ | ||||||
価格 | OPEN(4万円後半) | |||||
その他 | 1BITシステム、MDLP対応、MDスロットイン |
価格 : 525円
故障度 : CD再生せず→改善
初めまして。缶コーラと申します。
返信削除楽しく記事を読ませていただきました。
ちょっと一つだけ気になった点がありまして。些末な事で申し訳ないのですが…。
SD-CX8に限らないのですが、シャープのAuviシリーズのミニコンポのヘッドホン出力は1ビットアンプを通っておらず、普通の安価なオペアンプでの増幅になっていますので、1ビットの音では無いのです。
スピーカーを通して出てくる音が本来の1ビットサウンドです。
どうしてもヘッドホンで1ビットの音を聴きたければ、トランス等を使ってスピーカー端子にヘッドホンを繋げるようにするアダプターを自作する等すれば可能ですよ。
遅くなってしまいもうしわけありません
削除この記事は旧ブログからの転載だったのですが、どうも当時は勘違いしていてヘッドホンも1ビットアンプと思っていたようですね。すみません。
外部入力で自由に1ビットサウンドを聴く方法としてポータブル再録器で録音待機状態のまま光デジタル入力という方法がありましたが果たして…
変な症状が出るのですが、聞いてください。
返信削除先日暑い日に捨ててあったSHARP SD-CX8-S(リモコン無し)を拾って来たんですが
その時は電源も入り cd、md ラジオも快調だったのです。
しばらくして電源を入れますと、2秒で切れてしまいました。これが原因で捨てたと思ったのですが
ふと気づいて、今日、太陽に3時間さらして、電源オン、ばっち直っています。
基盤の部品が熱で正常になったと思いますが、何か思いつくことが教えて下さい
SD-CX1の場合ですが、
削除メイン基板にあるVoltage Regulator(アルミのヒートシンクにシリコングリスを介してネジで固定してある、四角く黒い部品)が『ハンダ割れ』で、
これの再ハンダで、復活しました。
コメント気が付いていませんでした、すみません・・・
削除熱で良くなったり悪くなったりということはやはりハンダクラックかコンデンサあたりが怪しいかなと思われます。工場では機械で実装してある基板なので部品のハンダ割れをチェックしていくのは結構しんどいですが、もしハンダ割れが原因ならば部品交換せずに再ハンダで修理できそうです。
こんにちは
返信削除もうだいぶ前にされて居られたとは思いますが、
CDトランスポートの分解までの画像は有りませんでしょうか?
すみません。
削除この記事原稿を作成したのが10年程前になりますので他画像データやこの機種本体も残っておりません。
すみません
返信削除ドフ とは何処のことでしょうか?
ハードオフの略称、スラングになります。最近は公式でも使ってる節があるのでスラング感は薄れておりますが。
削除