2016年5月22日日曜日

EPSON PhotoFine Digital L-500V

 
 
  
現在では見ることのできないEPSONブランドのデジタルカメラです。かつてセイコーエプソンは自社のカラープリンターを売るためなのか割と初期からデジタルカメラに参入していましたが、価格も安くなってきて各メーカーの競争もかなり進んできた2000年代以降は少し何機種かを発売するにとどまり、このL-500Vを最後に撤退してしまったようです。晩年はジャパネット専用の廉価なモデルも製造していたとのこと。
見た目は初期エプソンデジカメのような特徴的なものではありませんが、2004年発売ということを考えるとすこしずんぐりしている気がします。それでもカラーはブラック調に統一されていて存在感のあるクリップ、控えめなEPSONロゴと押さえる場所はちゃんと押さえていますが。
デジタルカメラ本体には一切の記載が無いので分かりませんが、化粧箱にはPhoto PCと記載されているのでPC関連商品として販売されていたことが分かります。そしてほとんど記載されることの無いのでどこも表記されていませんが製品名はEPSON PhotoFine Digital L-500Vとなります。

購入価格は2000円
実際は保証付きなのでジャンク商品には当てはまりません。
EPSON  L-500V 5 MEGA PIXELS

  
 
本体背面
年代の割に大きくてEPSONロゴの入った液晶モニターが目立ちます。この液晶モニターはPhoto Fineというブランドの少し特別なものであり、当時のコンパクトデジタルカメラの液晶モニターとしてはかなり高い画素数だったり、かなりのハイコントラストな発色で画像を表示します。後述しますがこのカメラの色のりは割とあっさり系であり、綺麗な空や花が撮れたと思ってPCに取り込むと案外発色が薄い…ということはよくあります。エプソンとしてもプリントしたくなるような画像を表示させたかったのでしょう。
幾ら当時としては画素数が高かったといっても約59万ドットなので現行品と比べるとさすがに見劣りします。(例:FUJIFILM FinePix F1000EXRが92万ドット)でもこの発色豊かなモニターは中々お目に掛かれません。

操作系は大きな液晶モニターに追いやられている感はありますが、ジョグスティックを採用してボタンを減らす努力をしています。ズームボタンがシーソー式なのは電源ボタンの周りがモードダイヤルとなっているため仕方がありません。液晶モニター上部にはエプソンデジカメ定番のダイレクトプリントボタンやP.I.Fボタンが見えます。いくら同社EPSONブランドのプリンターといっても最近の定番は無線LANからのスマートフォンなどやカメラからの印刷なのでケーブルでのダイレクトプリントは対応していません。ジャパネットモデルなL-410Vはプリンターの助けとして販売されていましたが、後期になると印刷させるためのデジカメという立場は大分薄れていたようです。



L-500V DIGITAL STILL CAMERA  

本体上部には電源ボタンと珍しい構造のモードダイヤル兼シャッターボタンが見えます。一般的にはシャッターボタンは独立している機種が多いのですが、このL-500Vはモードダイヤルとシャッターボタンがくっ付いています。赤いカメラマークがオート撮影モードですが、オートモードでは最高画質での記録はされず中圧縮になっているみたいです。再生モードも独立しているのでモードダイヤルからしか入れません。




3X OPTICAL ZOOM
f = 5.6-16.8mm  F2.8-4.9


3X OPTICAL ZOOM レンズ搭載…ですがレンズ銘柄がすべて消え去っています…
実際は光学3倍ズーム、f=5.6-16.8mm  f:2.8-4.9という標準的なスペックです。このカメラは実際本体の製造は京セラでレンズはコニカミノルタのGT HEXANONと聞きますが…(一応後述)
イメージセンサーは 1/2.5型カラーエリアCCDセンサーの原色フィルター付き 500万画素です。1/2.5型と至って平凡なスペックとなっています。500万画素という画素数は少なくとも多くともないバランスの良い数字なのではないのでしょうか。





撮影時
あまり飛び出さないレンズユニットなので見た目が大きく変わることはありません。同型レンズっぽいコニカミノルタ DiMAGE G400と同じく駆動音は大き目です。

  

EPSON L-500V    セイコーエプソン株式会社
モデルG931A  定格 3.4V   MADE IN CHINA   PAT.P.

デジタルカメラでは珍しくなっていた日本語での社名表記がされています。セイコーエプソンということでプリンターやパソコンで有名なあのエプソンです。カメラの原産国は中国となっています。価格の割にボディも三脚穴も金属製で大満足?でしょう。



使用電池はEPSONブランドのEU-94というリチウムイオン電池です。電池パックとしては珍しく製造年月日が表記されており、2004年9月15日製造という事が分かります。ということはデジタルカメラ本体の製造年月もそのくらいなのでしょう。

リチウムイオンバッテリパック  
MODEL:EU-94  3.7V
SEIKO EPSON CORP.    MADE IN  CHINA

実はこのバッテリーはシグマのDPシリーズのバッテリーと同じ形状なのです。シグマは自社のDPメリルシリーズは電池消費が凄い事からなのかアクセサリーの電池を他社と比べて非常に安価な価格で販売しているので2000円程でシグマの純正電池が買えてしまうようです。
なおバッテリーパックではなくバッテリパックです。誤植なのか業界用語っぽくハイフンがないのか…



充電器ももちろんEPSONブランドとなっています。



上記のようにこのデジタルカメラのレンズはGT HEXANONとのことなので比較してみました。これは直接コニカ KD-510Zの後継機となったKONICA MINOLTA DiMAGE G600との比較です。レンズ形状がかなり違うような… 撮影できる画像もDiMAGE G600は中央測量AEと部分測量しかないので使いこなせなければ白とび黒潰れしやすいのを除き高解像度な写真になりますがL-500Vではそんな感じではなく逆光にも特に強いという感じではないような。



有力説とされている同じくMINOLTA(発売はコニカミノルタ)DiMAGE G400のレンズとも比べてみます。大きさも違ううえに形状も違うような。
コニカミノルタのGTヘキサノンは設計に余裕があるのかグラグラと結構揺れるという特徴を持っていますが、L-500Vのレンズはほとんど揺れません。コーティングの色は同じに見えますがコーティングの色は似るものであり、レンズユニットの形状も少し違う事からGシリーズのものが直接使われている訳でもなさそうです。同じレンズを使っている?仲間としてカシオ計算機のQV-R二桁シリーズがありますが、あちらはセンサーサイズが1/1.8型と少し大きいので仕様や写りがレンズは同じでも異なっている可能性が高いです。
上記のKONICA MINOLTA DiMAGE G600とはセンサーサイズがそもそも違うなどして似た感じではないですが、MINOLTA DiMAGE G400については同じような傾向の写りになっています。クッキリシャープで鮮やかカラーではないけれども見たまんまの色合いで諧調豊かな写りという点などが共通しています。

撮影できる画像については前述の通りどちらかというとあっさり寄りで自然な感じのものが撮れます。この2004年の時期はデジタルカメラがかなり進歩してきた時期でこのL-500Vもダイナミックレンジが結構広いなどと普通に使えます。手ブレ補正が無いということとユーザーインターフェイスがイマイチということはマイナス要因になりますが、現在でも使えそうです。
このカメラのレンズユニットは限界を迎えるとピンボケ写真を撮るようになるとのことで心配しています。

2016/05/22 追記


 











記録フォルダを漁っていたら、マクロ撮影画像が出てきました。
マニュアルプリセットホワイトバランスが使えないので色味が残念になっていますが、写りはそれなりに良いことが分かります。カリッとしてシャープな写りではないのですがAWBが頑張れば写実性の高いカメラです。
屋外や風景などの写りは色味が淡いという点ではOEM?な京セラと似ているもののアンダーに転びまくるという点は似ていないので例えOEMでも独自チューニングのようです。京セラはデジタルカメラ本体の他社供給していたメーカーなので、完全に京セラからのOEM説を否定できませんが、少なくとも自社製品の丸投げ供給とは考えにくいです
 

EPSON PhotoFine Digital L-500V
メーカーEPSON
セイコーエプソン株式会社
原産国MADE IN CHINA
発売2004/09/28
メディアSDカード
センサー500万画素 1/2.5型 CCD 原色フィルター
レンズブランド3x OPTICAL ZOOM
レンズ構成6群7枚
画像エンジン高画質画像処理エンジン
手ブレ補正
光学ズーム3倍
電池EU-94/EPALB2
モニター2.5型 59万ドット PhotoFine液晶ディスプレイ
ファインダー
バージョンVer.1.01→Ver.1.02
ボディ外装金属
価格オープン
その他EPSONプリンターダイレクトプリント

セイコーエプソンは割と面倒見のいいメーカーで、現在でも97年のデジタルカメラ用ドライバーがダウンロードできたりしますが、このL-500Vもファームウェアバージョンアップが公開されているのでバージョンアップすることが出来ます。P.I.F機能についての修正を行った模様。

液晶モニターで表示されている画像と実際に取り込んだり印刷した画像を比べるとその発色の差から驚くかもしれませんが、それはそれで個性ではないのではないのでしょうか。レンジファインダーデジタルカメラであるR-D1シリーズを除き最後のEPSONブランドのコンパクトデジタルカメラなのでコレクション的な意味もありそうです。
記録メディアも2GBのSDカードが使えるので困らないでしょう。


価格:2000円(充電器、電池、ストラップ、保証)
故障:日付リセット



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