2023年11月14日火曜日

HITACHI Lo-D(日立製作所・日立家電販売) CDプレーヤー DA-009


かつて日立製作所(日立家電)がオーディオ製品を製造販売していた頃の単体CDプレーヤーデッキです。
Lo-DブランドのCDプレーヤー自体が他と比べるとそこまで数は多くないと思われます。




全景・表面

かつての日立グループのオーディオブランドのLo-DなCDプレーヤーです。Lo-DなCDプレーヤーは種類も少なく割と希少なので購入してみました。もうひとつこれも希少と思われるAurexのCDプレーヤーRX-V370もありましたが、あちらは持ってみると軽くてプラスチッキーだったのでボディが全面金属製でかなり重たいこちらの購入となりました。

購入価格は1600円
トレー開かずというコメントでしたが、原因はゴムベルトではなくプラスチック部品の滑りが悪くなっていたためでした。シリコングリスを散布してトレーが開いたと思ったら、今度はCDをうまく読み込むものの動作がイマイチ… 半固定抵抗を調整して完動品となりました。

発売は1988年頃で定価は\49,800。サンキュッパでもなくヨンキュッパな販売価格です。
日立製作所は1980年代の後半でLo-D製品の自社開発は止めてしまうので日立製作所自社製最後期に近いLo-Dプレーヤーではないのでしょうか。
当時のLo-DブランドCDプレーヤーは3ビームピックアップなど独自技術を投入した良いCDプレーヤーを作っており、名機と呼ばれる機種も多く他社に全く負けていない音質や使い勝手のCDプレーヤーを販売していました。それらの名残などはネット以外でも日立チェーンストールなどに掲げられたままの広告などで見ることが出来ます。90年代に入った頃からLo-Dブランドはもちろん他社OEMな高級デッキなどにも使われていましたが、安い廉価CDラジカセにもLo-Dブランドを付けるといったブランドの安売り的な使い方が始まり、後にはHitachi Living Systemsブランドの安いオーディオ機器にも使われるようになりました。恐らく電機メーカーのオーディオブランドの中で唯一安売りされたブランドではないのでしょうか。
ちなみに電機メーカーオーディオブランドで数少ない生き残りであり、現在でも日立リビングサプライからCK-55というCDラジカセが販売されています。数少ない生き残りといっても最近は結構オーディオブランドが復活したので消えているのはAurexやOTTO、OPTONICAなどくらいですが。

DA-009の本体は全面金属製であり、持ってみると5万円未満のクラスですが結構重く感じます。日立はオーディオブランドに自社ロゴを併記する珍しいメーカーであり、操作パネル右下に亀の子マークと一緒なHITACHIロゴも見えます。
やはり単品デッキなだけあって高級感がただよっていますね。
 

ディスクトレイ側 Lo-D

CDトレイ側  Lo-Dロゴが見えます。

Lo-D  COMPACT CD PLAYER
VBRATION CUT MECHANISM VC


3SPOT LASER PICKUP SERVO SYSTEM
OVER SAMPULING DIGITAL FILTER


日立お得意の制震技術であるVCローティングメカ搭載です。決して高い方のグレードではないのですがこれだけ技術投入されているのならば満足ですね。デジタルフィルターも搭載しています・
CDトレイは全面パネルと独立しているので振動の影響が少ないとのことです。
 

操作パネル部分
本体左パネル側 
ヘッドホン端子や各種ボタン類が見えています。ヘッドホン端子の下には亀の子マークと共にHITACHIロゴがあります。オーディオ機器なのに家電側のロゴ表示があるとなんだか家電っぽい…ということで不評というのが当時の風潮とは聞いたことあります。自分は好きですけれども。
再生やスキップなどいとった使用頻度の高いボタンは大きく設計されているので押しやすいです。
ヘッドホン端子はミニプラグではなく昔のヘッドホンに多かった標準サイズです。現在のヘッドホンにも変換プラグが普通に付属されていることは多いので使用に何の障害もありません。
この個体はボリュームが故障しているらしく、ボリュームを調整してもLch側が一定音量のまま変化しません。恐らくボリュームを取りだして分解して清掃すれば解決するかと思いますがハンダ吸い取り線持ってないし売ってない…
なお、当時の効率の低いヘッドホンを想定して設計されているので現代の効率の良いイヤホン等をそのまま使うと抵抗入りケーブルでもない限り、小音量でも音が大きすぎるということになりがちです。
   
 
背面側

裏面は黒色ではなくシャーシの銀色そのままです。RCA出力端子赤白と銘柄表示や個体番号のシールと電源コードのみなので何というかさびしい…
当時でも高級機種や、廉価機でも90年前後程になるとデジタル出力(光・同軸)端子が付いたりRCA出力も種別が増えたりと端子数が増えるので寂しさは減った機種が多いようです。
  
銘板側

HITACHI  COMPACT DISC PLAYER
株式会社 日立製作所   MADE IN JAPAN
MODEL DA-009


定格電圧 AC100V  定格周波数 50/60Hz   定格消費電力 9W

乙種電気用品マークの横にHITACHIロゴがあるので日立製作所自社製品でしょう。消費電力は9Wとかなりの省エネです。
もちろんMADE IN JAPANで日本製でバブル時代製です。日立製作所の字体が旧字体なのでなかなか硬派なメーカーというイメージです。この時代でも東芝は現在と同じ少し太くて濃い字体で株式会社 東芝と書かれていましたので。

出力端子は全面パネルのヘッドホン端子以外に赤白ピンのライン出力のみであり、高級グレードではないためか金メッキされていません。コンポシステムの一部というCDプレーヤーでもないのでシステム端子もなく本当にRCA端子のみです。
 
 
電源コード出線部

電源ケーブルは直付式でメガネケーブルのように着脱が出来ないタイプです。やはりそれなりの価格な為か一般的な家電製品と同じくらいの細いケーブルが使われています。
 

電源プラグ HITACHIロゴ入り

電源ケーブルは一般的な家電製品と同じ物に見えますが、プラグ部にはHITACHIロゴがあり自社オリジナル品です。途中に1988の文字があり、本体も同じく1988年の製造と思われます。このように目に付きにくいところもロゴが入っていたりするというのは中々好きです。

トレーオープン

これが前面パネルと独立しているというVCパネルです。前ユーザーは開かなくなったトレーからせめてディスクだけでも救出しようと試みたのかマイナスドライバーでこじ開けようとした跡が残っています。実際に未処置の状態でもトレイは引っ張れば簡単に開いたことからディスクは救出できたのではないのでしょうか。トレーが出なくなってもそのまま使っていたという可能性もありますが。
分解してみたら分かるのですが、トレー含むユニットはバネとゴムで本体に設置されている構造なので振動が伝わらないように工夫されているのです。当たり前ですが各処理や出力を行うメインボードや電源ボードとは独立しているので振動が各ボードに伝わらないような構造にしていると思われます。

年代が古いので8cmのシングルCDディスクは非対応です。
 
ディスプレイ・選曲操作部

ディスクのCDのTOCを読み込んだ状態なディスクプレイです。
年代物のCDプレーヤーの割にはピックアップが元気でTOC読み込みには1秒も掛かりませんでした。オーディオトラック再生は不安定だったので半固定抵抗の調整となりましたが。

見えているボタンの多さから分かりますがダイレクト選曲や沢山のランダムプレイ機能などを備えています。このあたりの機能も単品CDデッキならではです。
  
底面

4つのインシュレーターや様々な穴が見えます。昔のCDプレーヤーに多かった輸送モード用のネジなどは見当たりません。
大体のCDプレーヤーデッキと同じく前面パネルは底面にツメでも固定されているので、自己責任で分解する場合は底面のツメを外し忘れないようにしましょう。
 
 

インシュレーターはプラスチック製ですが中央にスポンジがはめ込まれていて制震がなされています。さすがに5万円以内のモデルなので金属製やセラミック製のインシュレーターではありません。
 
オーディオデッキの肝 電源トランス

電源トランスは結構大きめな物が使われており、基盤に直付けではなくちゃんと独立しています。電源トランスには甲種電気用品マークが付いていますね。
左下部に見えているのはピックアップユニットです。ちなみにピックアップユニットを支える脚はすべてスプリングとなっており、振動を抑える設計です。
 
メイン基板と思われる

メイン基盤
さすがにMUSEなどの音響用コンデンサーなどは見当たりません。大分技術が発達して少し前のCDプレーヤーと比べると部品数が少なくなっています。一応アナログ回路とデジタル回路は分離されているみたいです。
 
主要実装部品等

これは2つの信号を1つの信号に合成するマルチプレクサですが、日立製のHD14053BPが使用されています。HD14053BPの上に見えている配線はヘッドホン出力の物です。
他にご自慢の直線位相FIR型デジタルフィルタと思われる日立 HD6140428というチップもありましたが写真を撮り忘れてしまいました。
写真撮り忘れで画像はありませんがオペアンプはJRC 553200と思われます。フレキシブルケーブルはピックアップ信号伝送のみに使われていました。
 

現在はまともなスピーカーシステムがないのでヘッドホンで聴いてみようと思っていたのですが、上記の通りヘッドホン出力が故障中なので確かめることが出来ません。ハンダ吸い取り線が無いので修理はしばらくお預けになりそうです。といっても故障はヘッドホン出力のみであり、ピン出力は何の問題もなくピックアップもCD-Rを高速で読み込む程元気なので状態は良いと言えます。
 

<追記>
手入れをしていたら部品を飛ばして紛失してしまい、トレー動作不能に…
カバーを開けて手動で出し入れすれば使えますがそこまでは…
 
また問い合わせたところ取説が入手でき、 詳しい仕様が分かりました。
本体名義は日立製作所になっていますが、販売元は一般の家電製品と同じ日立家電販売になるみたいです。
セールスポイントもCDプレーヤー初期なためかレコードと比べた物ばかりです。
昔の日立製品で見られた「上手に使って上手に節電」という文字や、雰囲気からやはりLo-Dは何というか独特です。
その後諸事情で倉庫送りとなることに。この機種以降にLo-DブランドのCDプレーヤーの現物を全く見かけることが無かったことからレア物というのは分かるのですが…


 
 
購入価格:1600円
現状故障:ヘッドホン端子、ボリューム、トレー故障

2 件のコメント:

  1. 初めまして、
    DA-900を所有してます。
    デザインも良く、音質も素直で気に入っております。
    CDのディスクを格納した状態でトレーが開かないトラブルがありましたが、ケースを開けて確認してみたら、簡単な調整で治りました。
    Lo-D(日立製作所)はいい商品ですが、商売が下手といいますか、真面目な感じですね。そこが硬派で好きです。

    返信削除
    返信
    1. 始めまして、
      日立製作所は80年代には既に自社開発の本気オーディオデッキを止めてしまっていた様なのであまり数が残ってないというのが残念なところですね
      当時としては家電扱いされてる気がするとの事で避けられたとは聞きますが個人的にはHITACHIロゴとLo-Dの併記も好みです

      削除

お気軽にコメントをどうぞ