コダック デジタルカメラ DC3800は今までのコダックDCシリーズとはまた違った雰囲気のコンパクトデジタルカメラとなります。他のDCシリーズがデカいボディに広角よりの2倍ズーム程度なエクタナーレンズ、単3形電池4本駆動という仕様が多かったのに対し単焦点で単3形電池2本駆動、コンパクトながらも大型センサー搭載とちょっとスペックが異なっているのです。
購入価格は1000円
この機種は後にコダックカラーが見直されてプレミアが付いてしまっているようなので十分に安い価格での購入だと思います。現在のFUJIFILM FinePix F31fdのようにプレミアがひと段落付いた感じもせず安定して数千円程度の値が付くなど年代を考えるとかなりのプレミアが付いているのです。単焦点のエクタナーレンズで自社製っぽいCCDの時代に昔のコダックカラーが出るらしいということでファンが多いのかもしれません。プレミア度的な見方では上級機のDC4800の方が高くなっていると思われます。
低価格での需要を狙った機種といっても標準価格4万9800円とそれなりの価格なデジカメなのでボディは金属製で高級感があります。電池・メディアスロットを兼ねたグリップ部もあるのでホールド感もそれなりに良いです。フィルムカメラっぽいというわけではないのですが正統系なデジカメのデザインではないのでしょうか。
Kodak DC3800 Digital Camera 2.1 MEGA PIXELS
背面
この機種はマニュアル撮影はおろかISO感度や露出補正までも設定できないフルオート機なのでボタンは非常に少ないです。この時代の機種でフルオート機とはかなり思い切った仕様ですが優秀なAWBやそれなりに外さないAEなど偶に不満を感じる場面はあるものの現在でも普通に使えてしまうのです。逆にユーザーができる撮影設定は画質、セルフタイマー、フラッシュ発光設定、マクロ、デジタルズームのみです。ISO感度は自動というわけではなく100相当の固定となるので、本体を固持でもしない限り夜景や夜間撮影には期待できません。
液晶モニターは1.5インチ白色バックライト低温ポリシリコンTFT液晶となります。表記の通り画素数は非公開ですが当時としては珍しい白色LEDバックライト搭載で省電力化が図られています。同サイズでLEDバックライト液晶モニターがこのDC3800の発売と同じ年に三洋電機より発表されているので三洋電機製のバックライトなのかもしれません。今までのコダックDCシリーズと同じように起動時は不点灯で青ボタンを押して点灯する仕様ですが、マクロモードでは起動時から点灯する仕様になりました。
天面
マニュアル撮影が無いので天面はきわめてシンプルでサブ液晶モニターどころかボタンもシャッターボタンと電源スイッチしかないという割り切りです。
上から見ると結構湾曲しているデザインということが分かります。画素数表記やこの形状は割と上級機のDC4800と共通しているのです。
KODAK EKTANAR Lens
F2.8 33mm(Equiv) Auto Focus
33mmと微妙に広角寄りで単焦点なコダックエクタナーレンズが搭載されています。エクタナーレンズとは後期のコダックフィルムコンパクトカメラや初期のデジタルカメラに搭載されていたレンズブランドですが古のコダックエクターレンズと何か関係があるのかは分かりません。 単焦点故に沈殿式でも無く起動時は2枚のレンズバリアーが開くのみの動作です。
イメージセンサーは230万画素(有効画素数:210万画素)1/1.75インチCCD 3:2 原色フィルターが搭載されています。単焦点で価格も抑えめのモデルということで1/2.7型、もしくは1/2程度のセンサーと思ったら、何故か1/1.75インチと随分と大きいセンサーが使われていたのでした。そしてアスペクト比が35mmフィルムと同じ3:2になっているのも珍しいです。
画像処理エンジンについては特に固有名称は付けられていませんが、コダックカラーマネジメントにより「いい色」と謳われています。コダックは他社とは違って「いい色」というのに自信があったらしくいい色コミュニケーション iiiro.comというサイトまで運営していたみたいですが2001年と随分早い時期に閉鎖されています。
撮影状態
といってもレンズバリアが開いているだけです。キヤノンのIXY DIGITAL LやリコーのGR DIGITALのように単焦点だけど沈殿式という訳でもないのでレンズユニットはほとんど駆動しません。フォーカスはレンズそのものを前後に動かしているように見えます。
現在の大抵の高級コンパクトデジカメよりはコンパクトといったサイズなので持ち運びはそんなに苦ではないのです。
KODAK DC3800 Digital Camera
Made in Japan
コダックということでアメリカの会社のデジカメですが、製造・開発をしていたのは諏訪のチノンという会社だったので本体も日本製となるのです。チノンといっても後の扱いを見るに一企業というよりコダックのデジカメ部門という扱いだったようなのでチノンのOEMという感じはしませんが。後のEasyShareシリーズにはイーストマンコダックの名がありましたが、このDC3800には何故か記載されていませんでした。
底面は電池スロットが側面にあるのでかなりスッキリしています。部品が配置されていなかったからなのか三脚穴も中央にありますがプラスチック製です。
記録メディアは古いコダック機ということでコンパクトフラッシュを使用します。画像はコダック純正品のコダックピクチャーカードでオプションとして販売もされていましたが、別にコレしか使えないというわけでも無いです。
電源は単3形電池を2本使用します。デフォルトでモニターがオフだったり、バックライトにLED採用など省電力に力を入れてあるだけあって古い機種ながらも電池2本で安定した電池持ちとなっています。なんだかこの位置に電池などを入れる構造はコンパクトフィルムカメラっぽいです。
この機種は劣化して寿命を迎えるとAFが効かなくなるという持病があるらしく、完動品もそれなりに少なくなってきているとのことです。現時点で16年前とかなり昔のデジカメなのでそのうち動作品は皆無になってしまうかもしれません。
時代が時代なので逆光に弱い、画素数的にハイビジョンモニターでの鑑賞が辛いなどの弱点は大いにありますがL版印刷ではフィルムっぽい感覚とある程度コダックカラーで楽しめるかと思います。上級機のDC4800と比べるとお気楽に作った感はありますけれども。ある程度というのは明らかにDC210などの時代と比べるとコッテリ具合が下がっていてそれなりの発色になっていることなんですよね。それでも緑等は綺麗ですし、悪いという意味ではありません。
そして注意なのがExifでの撮影情報が一切記録されず機種名や撮影日時などしか確認できないのです。そこまで割り切るとは… コストダウンに関係があるのですかね。
数千円叩いてまで必死に購入する必要はないかもしれませんが、何事も無く捨てられてしまうのはかなり惜しい良き古デジではないのでしょうか。興味本位で触ったとしても旧世紀コダックを結構感じることができます。
Kodak DC3800 | |||||
メーカー | Kodak | ||||
Eastman Kodak Company | |||||
原産国 | Made in Japan | ||||
発売 | 2000/9月 | ||||
メディア | CF コンパクトフラッシュ | ||||
センサー | 1/1.75インチ 230万画素CCD 3:2 原色フィルター | ||||
レンズブランド | KODAK EKTANAR Lens | ||||
レンズ構成 | 7群7枚 | ||||
画像エンジン | コダックカラーマネジメント | ||||
手ブレ補正 | |||||
光学ズーム | なし | ||||
電池 | 単3形電池 2本 | ||||
モニター | 1.5インチ TFTカラー低温ポリシリコン液晶モニター 白色LEDバックライト | ||||
ファインダー | 光学 | ||||
バージョン | なし | ||||
ボディ外装 | 金属 | ||||
価格 | \49,800 | ||||
その他 | フルオート | ||||
ISO | 100固定 | ||||
F値 | F:2.8 | ||||
圧縮率 | 最高画質/高画質/標準画質 | ||||
動画 | なし | ||||
MF | なし | ||||
GPS | なし | ||||
タッチパネル | なし | ||||
容量上限 | |||||
カラーモード | カラーのみ | ||||
ストロボ | 内蔵 | ||||
ドライブ | 標準/マクロ |
価格:1000円
状態:故障なし
私も所有しています。購入は2000年でした。
返信削除つまり新品購入のワンオーナー機というわけです。
ここ数年、出番はめっきり減っています。
潔いオート機能は、例えて銀塩の写ルンです感覚ですよね。
構えて撮る。それだけ。
どうも
削除この機種は見た目と画質はそれなり、他で割り切ったみたいな仕様ですね。マニュアル機能の一切の削除もコストダウンなのでしょう。
FHDディスプレイの時代に200万画素でパソコンでの鑑賞はつらいですがL判プリントでは十分ですし、色乗りも良いですので個性も楽しめて良いのでは。