2016年10月6日木曜日

Kodak Digital Science DC120 Zoom

旧世紀(1997年)にアメリカのイーストマン・コダックが発売したメガピクセル(100万画素レベル)のデジタルカメラです。このカメラは後にコッテリ発色とコダックブルーによって名機認定?もされているDCシリーズよりも昔のdigital scienceという名前が付けられていたみたいですね。
よくデジタルカメラを開発したのはQV-10のカシオ計算機と間違えられるのですが、あれはコンシューマー向けで商品的に初の大ヒットした商品であって初のデジタルカメラではありません。歴史に残る商品には違いないですが。
それで開発したのがこのカメラと同じコダックだったりします。もっとも当初はカセットテープに記 録、そして巨大で約何百万円と超高額で業務用用途だったわけですが。デジカメ開発元だけあってまったくデジカメにそっぽを向いていたという訳ではないのですが、プロフェッショナルシリーズ以外のコンシューマー用途はチノンの開発だったり、その部門ごと売却してしまうなど売った後でも利益がおいしいフィルムを捨てきれなくデジタルカメラはついでみたいな感覚だったのかもしれませんが。
購入価格は800円
普通にこの価格で買ったのではなくジャンクデジカメセットに付いてきました。初期のメガピクセルデジタルカメラで実用性はほぼ皆無ですが珍しいのでよろしいかと。

Kodak ds digital science DC120 ZOOM Digital Camera  MEGA PIXEL
デジタルスチルカメラにも関わらずボディはビデオカメラのような巨大な形状をしています。これは超高倍率ズームレンズを搭載しているという訳でもなく単に技術の限界だったのでしょう。その為操作系含めかなり独特なものとなっています。
残念ながら液晶モニターが点灯しないので(使い方が悪いだけ?)光学ファインダーのみで使用しています。 
背面には小さいモノクロ液晶モニターとコダック自慢のライブビュー付き液晶モニターがそれぞれ搭載されています。
各ボタンはそれぞれ爪で押すようなかなり小さいもので操作系云々はあまり考えていない感じですね。撮影設定もそもそも十字キーが無いのでTABボタンでタブをそれぞれ選択してSELECTで希望する数値に変更、ENTERで決定という何とも面倒なUIですが旧世紀のものはこんな感じが普通でしょう。
モノクロ液晶モニターには設定のタブが表示されるので液晶モニターが点灯しなくても不便はありません。
再生モードは左部のスライドスイッチで行けます。
1.6インチカラー液晶モニター搭載で画素数は非公開です。少し大きくて厚いですが当時の機種では珍しいチルト機構になっていたります。チルト機構といっても現在のようにライブビューするためのものではなく電池スロットを押し込むために採用されているっぽいですがそれでも珍しいことには変わりないかと。 
 
 
天板は面積の割にズームボタンとシャッターボタンのみという超シンプル
かなり変わった形のシャッターボタンですがもちろん半押しもできます。

Kodak EKTANAR Lens  
  38-114mm (Equiv) F2.5-3.8 37mm Threads  AutoFocus ・ 3X Zoom

 

レンズはむき出しではなくプラスチックのようなものに包まれています。しかし、そのカバーそのものの内面が白く曇っているような…
レンズは明るめの光学3倍ズーム、ズーム速度はなかなか早いですがシャッターが切れるまでがかなり長いです。AFもガーといかにも駆動してますという音を立てて合わせるので結構遅いです。
電源はレンズ横のスライドカバーをスライドすることによって入ります。フラッシュは大きいためか中々遠くまで届きます。後期のdigtal scienceシリーズは価格が下がってきたためか同じようなレンズでもパンフォーカスというのがいくつか存在しますが、このDC120は価格が12万5000円と大変高価なためか赤外線によるマルチスポットAFとなっているのです。
 
イメージセンサーは1/2 CCD、約89万画素(900×989画素) 原色フィルター が搭載されています。メガピクセルをやたらアピールしていますが純粋なCCDの画素数ではないようです。ISO感度は160固定とある程度の高さとなっていました。
画像処理エンジンはコダックカラーコレクションというものが使われています。やはり詳細不明ですが高画素原色フィルターCCDとの組み合わせにより写真に近いデジタル写真が得られると書いてあり、まだ当時はデジカメ≠写真という認識だった模様。
 
 
撮影時状態
電源ボタンは無く、レンズ側の機構をスライドすることによって電源が入ります。





Kodak Digital Science DS120 Zoom Digital Camera
Made in Japan for EASTMAN KODAK COMPANY


日本製ということは既にコダック傘下となっていたチノンの製造でしょうか。チノン製の為にコダックデジタルカメラは見た目はゴツいアメリカンなものでも日本製というものは非常に多いです。ということは後に提携することとなるシュナイダーレンズもコダックの場合はもしかしてチノン製?
 
電源は単3形電池を4本
記録メディアはコダックピクチャーカードと称するコンパクトフラッシュカードを採用。
まともに使用していないので電池持ちは不明ですが少なくとも一瞬で干上がってしまうというようなことはありませんでした。しかし、まともなニッケル水素電池を使わないと元から残量表示残り1目盛りというのが普通に起こります。
ちなみにコダックピクチャーカードことコンパクトフラッシュは接続キットセット付きで10MBの場合お値段なんと2万8700円。もちろん10「GB」ではなく「MB」でしかも値段の桁を一つ間違っているという訳ではありません。当時のデジタルの扱い辛さを物語っていますね。と言っても本体価格がいくら安いとはいえ12万4800円と発展期の高級一眼風デジタルカメラよりも少し高いぐらいの価格です。これでも「やっと民主用メガピクセル級でこの値段だ!!」というような表記だったらしい。内蔵メモリー搭載とはいえコダックピクチャーカードは別売りなためPCと接続前提では15万円近い投資が必要だったと予想されます。
で、撮影結果なのですが記録形式がコダックで採用されていたとかな特殊RAW形式なので現像できず撮影結果が確認できません。この形式で検索すると機械翻訳されたような日本語の怪しげなサイトのみ引っかかるのみで情報もないため現像も不可。撮影するとちゃんとRAWファイルが記録されているのでデジタル部の故障は無さそうですがCCDかレンズが壊れているのかもしれないので現像してみなければ何とも言えません。
ということで公式ページ(まだ残っているのが凄すぎる)でサンプル画像をお楽しみください。拝見してみるとフィルムメーカーならではなのか発色はあっさりとしたコッテリになる以前の綺麗なものですが明らかな画素数不足ですね。何メガのTIFFファイルでダウンロードにかなり時間がかかりますという注意があるのが時代を感じさせます。
高価格ですがX接点による外部ストロボ、当時では珍しいコンパクトフラッシュ採用やメガピクセル原色系CCDなどデジカメ発展期の製品の1つです。
 

Kodak digital Science DC120 ZOOM
メーカーKodak
EASTMAN KODAK COMPANY
発売1997/03下旬
メディアコンパクトフラッシュ
センサー1/2インチ 89万画素原色フィルターCCD
レンズKodak EKTANAR Lens 38-114mm F2.5-3.8 Opt×3  
モニター1.6インチ 
電源単3電池×4 ACアダプター
手ブレ補正
バージョンアップ
価格124,800円
その他補間120万画素、独自Raw形式記録、Made in Japan

独自RAW形式記録とシリアル接続なため敷居が大変高くなっているので現在で使おうと思って入手するのはあまりお勧めできません。というより物が少ないので入手する時点で敷居がかなり高いと思いますが。
 
故障度: 液晶モニター作動せず
価格  :  800円(まとめてセット) 



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